3・Energy・能力



「で?何でまた男装なんかしてここに入ったのよ?」
あれから忍び込んだ男を縛ってそこらに転がした後、俺とリナさんとアメリアの3人は、リビングで俺のことについて話すことになった。
 





「えぇと・・・何から話ましょうか・・・?」
紅茶をくみながら俺は言う。
「とりあず本名は何ですか?」
「それは変わりません。」
「じゃあまずはここに来た理由を話してもらいましょうか。」
「はい実は−−−−ここに来る前、だいたい3月の中頃、俺はいつものように家に帰ったら火事になってたんです。」






うそだぁぁぁぁぁぁ!!!
俺のゲームが!CDが!本がぁぁぁぁ(主に漫画)!
何でいきなり家が火事に!?ていうか母さんに父さんに兄貴は!?
心の中で絶叫しながら呆然と立ちすくむ。
火の粉がぱらぱらと飛んで、肌が焼ける。
うう、近所の家に燃え移らないといいなせめて。後で賠償金やらなんやらで大変らしいし。ああ、火災保険はいくらはいるんだろう?そもそもあの母さんが保険に入れているかどうかも怪しいし・・・・
気がすっかり動転しているらしく、あの時はやたらとそんなことばかりを考えた。 
とりあえず、消防署は連絡したし・・・
そうこう考えているうちに遠くから、サイレン音が聞こえて来る。
そして水を勢いよく放射していく。
水蒸気が立ち上り、目の前が真っ白になっていく。
あーどうしよ・・・もう何が何やら。
「あなた、そこにいると危ないわよ。」
と言って、腕をいきなり引かれた。
俺の腕を引っ張ったのは、レストランの制服を着て、どこかのスーパーの袋を持った一人の女の人だった。






「ちょっと待てい!」
俺が話していると、リナさんがいきなり話に割り込んだ。
「ど、どうしたんですか?」
「さっきから聞いていれば、いきなり火事になったのレストランのウェイトレスだの何なのよ?!」
「いや、そう言われても・・・。確か父さんが死んだって数日前に言われて、そのあと火事が起きて、その数週間後テレビで、母さんが行方不明だって。兄貴は・・・」
「お兄さんは?」
「アメリアが心配そうに言う。アメリアは兄貴を知らないからなぁ。
「兄貴については聞かないでくれ。ついでに母さんにも。あの人たちはもう絶対に生きてるから。」
「はぁ・・・?」
「父さんは研究員で、なかなか家に帰って来なかったから。何をやってるのかは知らないけど。」
「ふぅん。分かったわ。ズバリ、あんたその親父さんが居た研究所の奴らに狙われて、男装して入り込んだんでしょ。」
「いえ全然違います。」
「へっ?」
「さっき言ったウェイトレスの人がここの学園には入れって。」
「はぁ?」
「それで、自分が口利きで入れてあげるから、その代わり男装しては入れって。」
「何じゃそりゃ。」
「俺もそう言ったら、面白いからって。」
「その人なに考えているでしょうね?」
「さあ?あ、そうそう。インバースさんって知ってますか?」
『はっ?』
いきなり間の抜けた声を上げる二人。どうしたんだろう?
「ファーストネームがインバースさんです。」
「あのねヒノ。それ、あたし。」
「え?」
「あたしの本名、リナ・インバース。」
「えぇ!?」
「そういや、名乗ってなかったわね。」
「じゃ、じゃあ、こ、これ。あったら渡しなさいってその人が・・・」
言って俺は、白い封筒をリナさんに渡す。
「何これ・・・・」
うさんくさげに、封筒をとって封を開け、中を読み始める。
「えーとなになに・・・・」
手紙を読み始めた数秒後、リナさんの動きが止まった。
「ヒノ、この手紙渡した人って、リアランサーって言うレストランのウェイトレスだった?」
「えー・・・よく覚えてないけどそうだったような・・・。」
「うひーーーやっぱり姉ちゃん!」
「え、姉ちゃんって姉妹だったんですか?!」
「手紙にはなんて書いてあったんですかリナさん。」
リナさんは頭を抱えたまま何も言わずに床にしゃがみ込んでいる。
うーん勝手に見ていいのかな?
「どれどれ、この子のことは任せた。ちゃんと面倒を見るように。−−−姉より。」
「なんかえらく簡単ですね。」
「うん。」
とりあえず分かった事と言えば、俺はどうあってもリナさんと知り合わずにはいられなかった運命らしいと言うことだ。







さらに次の日。
朝ご飯にて、昨日の続きを話すことになった。
昨日のショックから立ち直ったのか、リナさんはいつものようにご飯を食べている。
「んで、ヒノ。まだ話していないことって何よ。」
「これは、インバースさんに会うまで言わないようにって言われてた事なんですけど、俺人の心が読めるんです。」
『はい?』
二人が声を添えて言う。うう。そうだよな普通こんな事言ったって信じないよな。

−−−何こいつエナジーにそんなもん有ったかしら?

リナさんの心の声が聞こえる。
「エナジーって何ですか?」
「え?」 
「だって今言ったじゃないですか、エナジーって。」
俺が言うと二人はぽかんと目を丸くする。
今日はルナさん(リナさんのお姉さんの名前)にもらったあのペンダントはつけていないから簡単に心の声が俺の心に響く。読もうと思えば読めるけど、そんな事しなくても強い思念や近しい人の”声”は 聞こえやすいんだ。
「あんた、本当の本当に読めるわけ?」
「嘘なんかつきませんよ。そんなことしたらリナさーーーっっぐぇ」
言いかけている最中にリナさんにエルボーを食らってしまった。こうなるって分かっていたからこの人には嘘はつけない。
「・・・どうやら本当みたいですね。」
「そうね、嘘はついていないみたいだし。
いいわ。説明してあげる。
エナジー〈Energy〉てのは、そもそも潜在能力って意味が有るんだけどたとえば地水火風の力があって、それを現実空間に自然現象として起こさせる力のことなの。そしてその力が使えるのがエナジストと呼ばれる人間。」
「ええと、つまりは、俺がそのエナジスト・・・だと?」
「さあねー。でもそんなエナジーがあるなんて聞いたことないし。」
「そうですね。癒しの力なら有りますけど。ほかに地水火風以外で分類するなら”気”ですかね。」
「でもまあ、とりあえずその力は余り使わない方がいいんじゃない?そんなのいくらでも悪用するには都合がいい能力だしね。」
「悪用!?そんなことはこの正義の使者アメリアが許しません!!」
あさっての方向を向きながら力強く言うアメリア。
「あー気にしないで。あのこの癖だから。」
癖って・・・セイギノミカタが癖?
「とにかく、能力のことは表に出さない事ね。」
「はぁ。なんか超能力みたいですもんね。」
「まぁ超能力者ってのの本物はたいていエナジーの力を知らずのうちに使ってた人たちだから。」
「あぁ、俺もそう思ってました!ただ変人扱いされるから友達に言ったことありませんけど。」
「ま、賢明な判断ね。」
言って紅茶を一口。
「さて、分かったんなら、家事よろしく。」
”はーい分かりました。”そう言おうとした瞬間、リナさんとアメリアの顔が真剣な顔つきになる。
なんだ?そう思って集中して辺りの”声”に耳を澄ます。鳥たちや花の喜びに混じって敵意のある声が響く。
(おいっここか?例の家は)
(ああ。油断はするな。もう二人がやられている。)
その後ここに進入するための方法のやりとりが続く。
「リナさん!」
小声で言うと、リナさんは不敵の笑みを浮かべる。同時に(分かってる安心しなさい。)と声が聞こえた。
何で分かったんだろ?もしかして漫画みたいに相手の気配が分かるとか?!
(いくぞ!)
「台所から来ます!」
声と同時に叫ぶ!が、リナさんたちは動きもしない。なんでだ?!
現れたのは迷彩服ではなく、ただのサラリーマンのような服を着たさえない男二人。
「リナ・インバース!覚悟!」
「お待ちなさい!悪に染まった者よ!なぜゆえリナさんを狙うかは知らないけれど!それは止めておきなさい。さもなくば、手痛い目に遭うわよ!」
しかしアメリア毎回毎回よくやるなぁ。
「ヒノ。本場のエナジー見せて上げるわ。アメリア!」
リナさんのかけ声に頷くと、アメリアは窓を一気に開ける。
「風よ!」
リナさんがそう叫ぶと、男たちは突然発生した風に吹っ飛ばされ、窓の外へと出た。
「行くわよアメリア!」
「はい!リナさん!」
息のあったコンビネーションで、二人は外に飛び出していく。俺も慌てて追いかけると、リナさんの上には赤い光球が浮かんでいた。
もしかしてあれもエナジー?!
「ファイヤー・ボール!」
「フレア・アロー!」
光球とアメリアの放った炎の矢が、男たちに降り注ぐ。







この日、初めて俺はリナさんたちの本当の力を知った。 












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